最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)857 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人瓜谷篤谷の上告理由第一点について。�
論旨は、原判決が更改に関する民法五一三条の解釈適用を誤つているというが、
原判決が所論準消費貸借の成立ならびに右準消費貸借契約にあたり本件一〇〇万円
の貸付金債務を消滅せしめる旨の合意はなされなかつた事実を認定判示したことは、
挙示の証拠関係に照し肯認できるところであつて、原判決が債務の態容に判示の程
度の変更を加えても特に当事者間において旧債務を消滅せしめ新債務に更める意思
のない限りこれを以て直ちに債務の同一性に変更があつたものと解することはでき
ないとした点は首肯できる。�
論旨は、更改をいうが、原審は更改の成立を認定していないこと判文上明らかで
ある。なお論旨は、本件のように数債務を一の債務になし利息弁済期を変更し、且
つ新たな保証人を加え、新たに担保権の設定をした場合には更改とみるべきである
との趣旨を唱えるが、原判決は、数債務を一の債務にしたとは判示していないから、
所論はこの点前提を欠き、利息弁済期の変更、新保証人、新担保権の設定を以て直
ちに更改をいう所論も独自の見解であつて採用できない。�
同第二点について。
所論前段が独自の見解として採用し難いことは前示のとおりてあり、所論挙示の
判例は、当事者の合意として更改を認め得ることをいうものであつて本件に適切で
ない。
所論後段は、本件準消費貸借の目的とされた五口の債務中、所論株券返還債務を
金銭債務とした点に債務の要素の変更があるとし、数個の債務を併合して新債務と
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した際右数債務中の一口に債務の要素の変更があれば他の口の債務についても更改
ありと判断すべしと論ずるが、原判決は、本件一〇〇万円の貸付金債務については
それが同一性を失つて他の口の債務と併合されて新債務となつたとは認定判示して
いないのであるから、所論は前提を欠き採用できない。
同第三点について。
所論は、原判決に経験則違反の事実誤認があるというが、その実質は、原審の適
法になした証拠の取捨、事実の認定を非難するに帰着し採用できない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 石 坂 修 一
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
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